設立の趣意

当会は、財産の寄附先であるネグロス電工株式会社の社名を採ったものであります。

「ネグロス」の由来はフィリピンの島の一つであるネグロス島より付けたもので、ここは創立者菅谷政夫が太平洋戦争で多くの戦友と生死を共に戦い戦友の多くを失った生涯忘れる事の出来ない又忘れてはならない島であります。

菅谷政夫はネグロス島より戦友のおかげで九死に一生を得て復員しました。復員後、亡き戦友に報いる為に「利他の精神」を経営の基本として会社を設立致しました。

当会の趣意は、ネグロス電工株式会社の経営理念の一つでありますところの「社会へ奉仕還元」を創業の精神に則り具現化したものであります。

すなわち現在の我国は諸先輩方の多大の犠牲・たゆまぬ努力により繁栄発展し、世界的にも希に見る経済的発展を遂げて参りましたが、もともと資源の乏しい我国がここまで繁栄発展したその原動力は、何といっても勤勉かつ優秀な人材によるところ大であります。

今後共この人材、特にエネルギー溢れる若人を国内的にも国際的にも有為な人材に育成することこそが最も大切な事と考える次第であります。

一方物質面に恵まれ、教育面でも世界のトップクラスに位置し、高等学校も義務教育化された感がある、反面、心身共に健全で向学心に燃える優秀な若人が経済的理由により、高等学校進学を断念し、あるいは中退のやむなきに至る例は相当数にのぼっており、この事は単に一個人の不幸であるのみならず社会的にも大きな損失であります。

かかる現状に鑑み、将来に多くの可能性を持つこれら若人を育成することは今後あらゆる面で不可欠の事と考え、財団法人ネグロス育英会を設立するものであります。